このページでは、日本史のうち、古代の文化を中心に流れをまとめました。
基本的に、宗教関係は青色、文学関係は赤色、思想・学問関係は黄色、その他は緑色にしています。
文化史
飛鳥文化
- 伝来した仏教が受容され、氏寺の創建などが行われました。
- 中国の南北朝文化の影響を受けました。中には、遠くギリシャ・ローマ・ササン朝ペルシャなどの影響が見られる点もありました。
- 522司馬達等、来日して仏教に帰依
- 538百済の聖明王、仏教を伝える
『日本書紀』では552年とする
➡仏教受容を巡り、蘇我稲目と物部尾輿の対立へ
- 587大臣蘇我馬子・厩戸王、大連物部守屋を滅ぼす
➡崇仏論争に決着、仏教受容へ
厩戸王は四天王寺を創建
- 594仏教興隆の詔
- 596蘇我馬子、飛鳥寺(法興寺)を完成させる
仏像彫刻:釈迦如来像(609年、鞍作鳥)
- 602百済僧の観勒、暦を伝える
- 603秦河勝、広隆寺を創建
飛鳥文化の仏像彫刻:半跏思惟像
- 604憲法十七条
第2条で仏教受容を謳う
- 607厩戸王ら、法隆寺を創建
670年に焼失し、その後再建
飛鳥文化の仏像彫刻:金堂釈迦三尊像(623年、鞍作鳥)、夢殿救世観音像、百済観音像
白鳳文化の絵画:金堂壁画(1949年焼損)
天平文化の建築:夢殿(739年)、伝法堂
- 610高句麗僧の曇徴、紙・墨・絵具を伝える
- 615『三経義疏』(厩戸王)
法華経などの経典の注釈書
- この頃
- 620『天皇記』『国記』(厩戸王・蘇我馬子)
蘇我氏の滅亡時に大部分が焼失
- 622橘大郎女、亡き厩戸王のため、天寿国繍帳を作らせる
- 639舒明天皇、百済大寺の造営を開始
- この頃法隆寺玉虫厨子
「捨身飼虎図」などで釈迦前世の説話を描く
白鳳文化
- 国家に保護された仏教文化が隆盛しました。
- 初唐文化の影響を受けました。
- 国史の編纂事業が進められました。
- 677天武天皇、高市大寺を大官大寺に改称
- 680天武天皇、皇后(後の持統天皇)の病気平癒のため、薬師寺を建立
白鳳文化の仏像彫刻:金堂薬師三尊像、東院堂聖観音像
天平文化の建築:東塔(730年)
天平文化の絵画:吉祥天像
弘仁・貞観文化の彫刻:僧形八幡神像
- 681「帝紀」などの検討に着手
- 685山田寺の本尊、開眼
後に興福寺の僧兵が奪取し、興福寺仏頭として伝わる
- 白鳳文化
その他
- 701大宝律令
僧侶を僧尼令で統制した
- 712『古事記』(稗田阿礼、太安万侶ら)
神代~推古天皇までの歴史書
「帝紀」「旧辞」を稗田阿礼が暗誦し、太安万侶が筆録
- 713『風土記』
各国の地誌
出雲、常陸、播磨、豊後、肥前の5か国が伝わる
- 717行基ら、民間宗教活動を禁じられる
- 720『日本書紀』(舎人親王ら)
神代から持統天皇までの歴史書
六国史の最初- 『日本書紀』
- 『続日本紀』
- 『日本後紀』
- 『続日本後紀』
- 『日本文徳天皇実録』
- 『日本三代実録』
天平文化
- 遣唐使などがもたらした国際色豊かな盛唐文化の影響を受けました。
- 鎮護国家の思想の下、仏教が発展しました。
- 仏教の仏と日本古来の神を同一視する神仏習合思想が広がりました。
- 大寺院が多く建立され、国家財政を圧迫しました。
- 大安寺
- 薬師寺
- 元興寺
- 興福寺
- 法隆寺
- 東大寺
- 西大寺
- 教義の研究が盛んに行われました。
- 三論宗
- 成実宗
- 法相宗
- 倶舎宗
- 華厳宗
- 律宗
- 漢詩集・和歌集の編纂が行われました。
- 官吏養成機関として中央に大学、地方に国学が設置され、明経道、明法道、紀伝道などが学ばれました。
- 730皇后宮職に施薬院を設置
光明皇后は、悲田院も設置した
- 733良弁、羂索院(のちの東大寺法華堂)を建立
天平文化の仏像彫刻:東大寺法華堂不空羂索観音像(乾漆像)、執金剛神像(以下、塑像)、日光菩薩像、月光菩薩像
- 741国分寺建立の詔
各国に国分寺・国分尼寺を建立
- 743大仏造立の詔
紫香楽宮で大仏の造立を宣言
- 745行基、大僧正となる
大仏造立・社会事業への貢献が認められた
- 天平文化
その他興福寺八部衆像・十大弟子像(乾漆像)八部衆像の一つが阿修羅像
- 聖林寺十一面観音像(乾漆像)
- 新薬師寺十二神将像(塑像)
- 過去現在絵因果経
- 751『懐風藻』
現存最古の漢詩集
- 752大仏開眼供養
導師:菩提僊那
- 754鑑真、東大寺に戒壇を築く
755年、東大寺戒壇院建立
天平文化の仏像彫刻:東大寺戒壇院四天王像(塑像)
- 756聖武天皇の遺品が正倉院などに収められる
主な正倉院宝物:鳥毛立女屏風、螺鈿紫檀五絃琵琶、漆胡瓶、白瑠璃碗
- 759鑑真、唐招提寺を建立
天平文化の建築:金堂、講堂(平城宮の朝集殿を移築した)
天平文化の彫刻:鑑真像、金堂盧舎那仏像(乾漆像)
- 759以降『万葉集』
現存最古の和歌集
山上憶良の「貧窮問答歌」
- 761下野薬師寺・筑紫観世音寺に戒壇を建立
- 770称徳天皇、百万塔陀羅尼を諸寺に奉納
- 773石上宅嗣、ウン亭を創設
自宅に図書館を設けて公開した
- 779『唐大和上東征伝』(淡海三船)
- 785最澄、比叡山に草庵(のちの延暦寺)を構える
- 797『三教指帰』(空海)
儒教・道教と比較し仏教の優位性を説く
空海の著作には『十住心論』などがある
- 804最澄・空海ら、入唐
- この頃和気広世、弘文院を設立
弘仁・貞観文化
- 文章経国思想により、唐風の礼制・儀式、漢文学が隆盛しました。
- 密教が広がり、南都六宗の影響が衰退しました。
- 神仏習合思想が広がり、神像彫刻や神宮寺が作られました。
- 一木造や翻波式の仏像が作られました。
- 勅撰漢詩集の編纂が行われました。
- 平安時代初期の能書家3人は、三筆と称されました。
- 空海
- 嵯峨天皇
- 橘逸勢
- 明経道・紀伝道が重視されるようになりました。
- 貴族らが子弟のため、大学別曹を設立しました。
- 809-820
の間『文鏡秘府論』(空海)漢詩作成にあたっての評論集
空海の弟子真済は、空海の漢詩集『性霊集』を編んだ
- 812頃「風信帖」(空海)
最澄に送った書状
- 814『凌雲集』(小野岑守ら)
勅撰漢詩集
- 818『文華秀麗集』(藤原冬嗣ら)
勅撰漢詩集
- 819最澄、比叡山に戒壇の設置を請う
➡最澄の死後(822年)に実現
- 819空海、高野山に金剛峯寺を創建
- 820『顕戒論』(最澄)
南都諸宗の反対に対する反論
- 818頃宮廷儀式・常服などを唐風に改める
- 821藤原冬嗣、勧学院を設立
- 823嵯峨天皇、空海に東寺を下賜
弘仁・貞観文化の仏像彫刻:不動明王像(839年)
弘仁・貞観文化の絵画:両界曼荼羅
- この頃『日本霊異記』(景戒)
現存最古の仏教説話集
- 弘仁・貞観
文化その他室生寺金堂・五重塔仏像彫刻:室生寺金堂釈迦如来像、室生寺弥勒堂釈迦如来像
- 観心寺如意輪観音像
- 神護寺薬師如来像、両界曼荼羅
- 法華寺十一面観音像
- 827『経国集』(良岑安世ら)
勅撰漢詩集
- 828空海、綜芸種智院を設立
- 847頃『入唐求法巡礼行記』(円仁)
五台山などを巡礼した記録
- 847頃橘嘉智子・氏公、学館院を設立
- 868頃『令集解』(惟宗直本)
養老律令の私撰の注釈書
- 881在原行平、奨学院を設立
国風文化
- 遣唐使の廃止・摂関政治の隆盛により、日本風の貴族文化が広がりました。
- 神仏習合思想から、日本の神は仏が姿を変えて現れたものとする本地垂迹説が広がりました。
- 怨霊などを慰めることで災いから逃れようとする御霊会が行われました。
- 阿弥陀仏を念じて極楽浄土への往生を願う浄土教が流行しました。
- 定朝が寄木造を完成させ、仏像の大量生産が可能になりました。
- かな文字が発達し、多くの文学作品が生まれました。
- 漢詩に代わり、勅撰和歌集が編纂されるようになりました。
- 在原業平
- 僧正遍昭
- 喜撰法師
- 小野小町
- 文屋康秀
- 大友黒主
- 平安時代中期の能書家3人は、三蹟と称されました。
- 小野道風
- 藤原佐理
- 藤原行成
- 900『菅家文草』(菅原道真)
菅原道真の漢詩集
- この頃『竹取物語』
かぐや姫の物語
- 『伊勢物語』
在原業平を中心にする歌物語
- 901『日本三代実録』(藤原時平ら)
六国史の最後
- 905『古今和歌集』(紀貫之ら)
初の勅撰和歌集
- 『古今和歌集』
- 『後撰和歌集』
- 『拾遺和歌集』
- 『後拾遺和歌集』
- 『金葉和歌集』
- 『詞華和歌集』
- 『千載和歌集』
- 『新古今和歌集』
- 935紀貫之、土佐から帰国
のちに『土佐日記』を著す
- 938空也、京に入り市で阿弥陀号を唱える
- 974頃『蜻蛉日記』(藤原道綱の母)
藤原兼家との夫婦生活を描く
- 985『往生要集』(源信)
念仏による極楽往生の方法を示す
- この頃『日本往生極楽記』(慶滋保胤)
極楽往生を遂げた人の伝記
- 986
- 991「離洛帖」(藤原佐理)
- 998~藤原道長、『御堂関白記』を記す
現存最古の自筆日記
- この頃『枕草子』(清少納言)
皇后藤原定子への宮仕えなどの随筆
- 1007藤原道長、金峯山に参詣し、経筒を埋納
- 1008頃『源氏物語』(紫式部)、一部成立し流布
光源氏を主人公とする長編小説
院政期の絵画:「源氏物語絵巻」
- 1018「白氏詩巻」(藤原行成)
- 1020藤原道長、法成寺を建立
- 1052末法の初年
- 1052藤原頼通、平等院を建立
- この頃『更級日記』(菅原孝標の女)
13歳に上総から帰京するところからの回想録