このページでは、『源氏物語』のうち、第2帖「帚木」の登場人物系図とあらすじを紹介します。
「帚木」の系図
夕顔の登場
「帚木」・「空蝉」・「夕顔」の三帖は、夕顔や空蝉にまつわる話が展開します。
頭中将が「雨夜の品定め」の中で取り上げる「常夏の女」(夕顔)は、頭中将の正室(四の君)の右大臣家から圧力を受けて姿を消してしまいます。
空蝉の登場
空蝉は「中の品」の家の女性として登場します。空蝉の父の衛門督は、中納言もしていた人物で、空蝉も本来は「上の品」の立場にありました。しかし、父を亡くして後ろ盾を失った結果、受領階級でかなり年長の伊予介の後妻に収まったのでした。
なぜか朝顔も登場
なぜか「帚木」では、物語のもっと後に登場する朝顔が、紀伊守邸の侍女たちの噂話の中で登場します。
「帚木」のあらすじ
雨夜の品定め
源氏17歳の年の夏、源氏は、長雨が続く物忌の期間に宮中で宿直をします。そこで頭中将は、「中の品」の女性の魅力を語り始めました。左馬頭・藤式部丞も加わり、「雨夜の品定め」の始まりです。
雨夜の品定めの中で頭中将は、「常夏の女」の話をします。密やかに通い始めたその女性は、おとなしい性格で、訪問が途絶えがちになっても不満を顔に出しません。やがて子を儲けましたが、再び途絶えがちになっていたうちに、姿を消したのでした。
紀伊守邸への方違え
物忌が明けた源氏は、左大臣邸へ退出します。葵の上は相変わらず打ち解けない態度です。源氏は、自邸である二条院と左大臣邸の方角が方塞がりであることを口実に、中川の紀伊守邸へ方違えをし、このような家が「中の品」の家なのだと思いました。
紀伊守の歓待を受けた源氏は、紹介された小君の姉で、伊予介の後妻となった空蝉に興味を抱きます。
空蝉との一夜
その夜、小君と空蝉が会話しているのを聞いた源氏は、空蝉が近くにいることを察しました。近衛中将の役職に着いている源氏は、空蝉が侍女の「中将」を呼んだタイミングで忍び込み、空蝉を連れ出しました。
様々な言葉で口説く源氏に対し、空蝉はなよ竹のようになかなか折れようとしません。やがて夏の短夜は明け、源氏は空蝉と歌を読み交わし、紀伊守邸を退出します。
源氏を拒む空蝉
空蝉のことが気になる源氏は、小君を召し使うことにします。そして、小君に文を託して空蝉に歌を届けますが、空蝉は身分の差を思い、返事をしません。
方違えを口実に再び紀伊守邸を訪れる源氏に対し、空蝉は侍女の局に隠れて会おうとしません。源氏は、遠くからは見えるのに近づくと消えるという帚木を歌に詠み込み、途方に暮れるのでした。
おすすめ書籍など
『源氏物語』を影印で楽しみたい場合、「e国宝」のページに保坂本の影印があります。
『源氏物語』を原文で楽しみたい場合、岩波文庫と新潮日本古典集成がコンパクトでおすすめです。
『源氏物語』の現代語訳は、瀬戸内寂聴さんによる全訳など、たくさん出版されています。
青空文庫のサイトにも、『源氏物語』の現代語訳があります。
『源氏物語』を漫画で楽しみたい場合、『あさきゆめみし』『まろ、ん』などがあります。
前後の帖の記事
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