このページでは、『源氏物語』のうち、第8帖「花宴」の登場人物系図とあらすじを紹介します。
「花宴」の系図
右大臣家の姫君たち
これまでに、右大臣の子女として、弘徽殿女御と四の君が登場していましたが、「花宴」では、さらに5人が登場します。
このうち、娘の一人は帥宮(蛍宮)の北の方となっています。朧月夜君は、東宮(のちの朱雀帝)に入内する予定です。
右大臣は、多くの娘を天皇家に嫁がせ、やがては天皇の外戚となって、権勢を振るおうと画策しています。
「花宴」のあらすじ
南殿の桜の宴
源氏20歳の年の春二月二十日過ぎ、桐壺帝は、紫宸殿で桜を愛でる宴を催しました。源氏はその宴で見事な漢詩や舞を披露し、人々から称賛されました。
藤壺は、源氏の素晴らしさに心を動かされてしまう自分を情けないと思い、心の中で歌を詠むのでした。
朧月夜との出会い
宴の後、源氏は藤壺と会う機会がないかと、飛香舎のあたりを探り歩きます。すると、弘徽殿の細殿の三の口が開いています。このような不用心から過ちが起きるのだと思いながら中に入ると、「朧月夜に似るものぞなき」と口ずさみながら向かって来る女君(朧月夜)がいました。
源氏は朧月夜の袖を捉え、歌を詠み戸を閉めます。源氏であると気付いた朧月夜は、呆然としながらも、風情の分からない女とは思われたくないと考え、源氏と契りを交わしました。夜が明けると、二人は扇を交換して別れました。
朧月夜の素性
朧月夜は名乗らなかったため、源氏は従者に素性を調べさせ、右大臣家の姫君で五の君か六の君だろうと思います。一方の朧月夜は、東宮への入内が決まっていたため、源氏とのことを思い悩みます。
そんな中、三月二十日過ぎに、源氏は右大臣家の藤の花の宴に招かれます。
そこで源氏は酔ったふりをして、内親王のいる東の戸口に座り、室内を窺います。そして、「扇を取られてからき目を見る」と口ずさむと、反応する女君がいました。再会した二人は歌を詠み交わすのでした。
おすすめ書籍など
『源氏物語』を影印で楽しみたい場合、「e国宝」のページに保坂本の影印があります。
『源氏物語』を原文で楽しみたい場合、岩波文庫と新潮日本古典集成がコンパクトでおすすめです。
『源氏物語』の現代語訳は、瀬戸内寂聴さんによる全訳など、たくさん出版されています。
青空文庫のサイトにも、『源氏物語』の現代語訳があります。
『源氏物語』を漫画で楽しみたい場合、『あさきゆめみし』『まろ、ん』などがあります。
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