このページでは、『源氏物語』のうち、第6帖「末摘花」の登場人物系図とあらすじを紹介します。
「末摘花」の系図
末摘花の登場
「末摘花」帖では、末摘花が登場します。末摘花は、常陸宮の娘という高貴な身分ですが、後ろ盾が無く貧しい生活を送っています。
末摘花のこの状況を挽回しようと奔走する大輔命婦も皇族の血筋です。母の左衛門乳母は源氏の乳母として重んじられましたが、現在は後夫の筑前守に従って下向しています。父の兵部大輔は後妻と暮らしており、大輔命婦も自身の状況を打開しようとしたのかもしれません。
「末摘花」のあらすじ
常陸宮の姫君の噂
源氏18歳の年の春、源氏は大輔命婦から常陸宮の姫君(末摘花)の噂を聞きます。荒れた邸で琴を友として、ひっそりと暮らしているというのです。
心惹かれた源氏は、大輔命婦の手引きで故常陸宮邸を訪れ、末摘花の琴を聞き、ますます興味を持ちます。実はこの時、大輔命婦は、源氏に興味を持ってもらうため、末摘花の演奏をすぐに止めさせていました。
末摘花を垣間見ようとした源氏が透垣の方に寄ると、頭中将が源氏を尾行して来ていました。その後、二人は競うように末摘花に手紙を送るうち、秋になりました。
末摘花との逢瀬
八月二十日頃、大輔命婦に手引きさせ、ついに末摘花と対面します。恥ずかしがってだんまりな末摘花に違和感を覚えながら、源氏は夜明け前に帰ります。
後朝の文は夕方になってからようやく送ると、末摘花からは恋文とは思えない風情のない返事がありました。
末摘花の姿
朱雀院行幸の準備などに追われているうちに冬になりました。雪の夜に故常陸宮邸を訪れた翌朝、源氏は雪明かりで末摘花の姿を見ることになりました。
末摘花は、座高が高く痩せ細っており、肌は白く青ざめ、鼻は異様に伸びて先の方が赤く色付いています。おでこは広く、顎は長く伸びています。ただ、髪の毛だけは、他の女君にも劣らない様子です。
源氏は常陸宮の魂の導きだと解し、末長く末摘花の生活の面倒を見ようと思うのでした。
年末、源氏は、末摘花から送られた衣裳と歌に呆れてしまいながらも、返礼をします。年始には、鼻の先を赤く塗って若紫と遊びました。
おすすめ書籍など
『源氏物語』を影印で楽しみたい場合、「e国宝」のページに保坂本の影印があります。
『源氏物語』を原文で楽しみたい場合、岩波文庫と新潮日本古典集成がコンパクトでおすすめです。
『源氏物語』の現代語訳は、瀬戸内寂聴さんによる全訳など、たくさん出版されています。
青空文庫のサイトにも、『源氏物語』の現代語訳があります。
『源氏物語』を漫画で楽しみたい場合、『あさきゆめみし』『まろ、ん』などがあります。
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