このページでは、『源氏物語』のうち、第4帖「夕顔」の登場人物系図とあらすじを紹介します。
「夕顔」の系図
惟光の登場
「夕顔」で登場する大弐乳母は、源氏の乳母を務めた人物です。その息子の惟光は、源氏とは乳兄弟の関係で、永く源氏に仕え、様々な場面で活躍することになります。
夕顔の出自
夕顔の死後、侍女の右近から、早くに両親と死別したことが語られます。夕顔の父は三位中将であったことから、夕顔もまた、空蝉と同じく、後ろ盾を失って苦しい立場に置かれていたのでした。
六条のわたりの女君
「夕顔」で登場する「六条わたり」等と表記される女君は、後に登場する六条御息所と同一人物とも考えられています。
「夕顔」のあらすじ
大弐乳母への見舞い・夕顔の咲く家
源氏17歳の年の夏、源氏は、六条の女君の元に通う途中、大弐乳母の見舞いに訪れます。隣家に咲く夕顔の花を折り取らせると、その家の女童が扇を差し出して来ました。扇に書かれた和歌に興味を持った源氏は、筆跡を変えて返歌し、惟光に素性を調べさせることにしました。
数日後、惟光からそこには5月頃から住む女君(夕顔)がいるけれども、どこの誰なのかは分かりませんと報告を受けます。
伊予介の上京
その頃、空蝉の夫である伊予介が任国から上京します。伊予介が軒端荻を誰かと結婚させ、空蝉を任国に同行するつもりだと聞いた源氏は、もう一度空蝉に会えないかと小君に語りますが、断念するのでした。
思い詰める六条の女君
秋、源氏は六条の女君の元に通いました。以前ほど熱心ではなくなっている源氏の様子に、六条の女君は思い詰める性分もあって、思い悩んでいます。侍女の中将のおもとも、それを気がかりに思っているのでした。
名を隠して逢瀬
惟光の報告から、源氏は、夕顔が「雨夜の品定め」で話題に上った「常夏の女」ではないかと思います。そして、名を隠し、身を窶して夕顔の元に通うようになりました。
8月15日の夜、夕顔と過ごした源氏は、明け方に夕顔をなにがしの院に連れ出します。そこで夕顔と睦まじく一日を過ごした源氏は、六条の女君は思い乱れているのだろうと思いました。一方の夕顔も、自ら名乗ることをしませんでした。
夕顔の死
その夜、美しい女が恨み言を言って夕顔を起こそうとする夢を見た源氏は、気味が悪くなり、魔除けの弦打ちを命じ、紙燭を持って来させます。紙燭の灯りで夕顔を確認すると、枕元に夢に出て来た美しい女が見え、ふと消えました。夕顔は絶命していました。
戸惑う源氏は、惟光を呼び寄せて夕顔の亡骸を東山に移させ、どうにか二条院に帰りました。頭中将の見舞いを受けた後、東山へ行き、夕顔との最後の別れをしました。その後、源氏自身も病に臥せ、桐壺帝は心配しました。
夕顔の正体
病が快復した源氏は、夕顔の侍女の右近から、夕顔の素性を聞きます。やはり「常夏の女」でした。そして、夕顔の娘(玉鬘)を引き取ることを希望しましたが、夕顔の家には誰もおらず、娘の行方は分からなくなっていました。
伊予介の下向
伊予介は、10月に伊予に下向することになりました。源氏は、餞別の品とともに、空蝉に小袿を返します。軒端荻は、蔵人少将と結婚しました。
源氏17歳の物語は、夕顔の死・空蝉との別れで終わります。
おすすめ書籍など
『源氏物語』を影印で楽しみたい場合、「e国宝」のページに保坂本の影印があります。
『源氏物語』を原文で楽しみたい場合、岩波文庫と新潮日本古典集成がコンパクトでおすすめです。
『源氏物語』の現代語訳は、瀬戸内寂聴さんによる全訳など、たくさん出版されています。
青空文庫のサイトにも、『源氏物語』の現代語訳があります。
『源氏物語』を漫画で楽しみたい場合、『あさきゆめみし』『まろ、ん』などがあります。
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